ガラスの靴がはけなくても
第2章 キスの温度
「わかりませんっ」
近すぎる部長を必死で両手で押し返す。
「ふーん?まぁ、良いけど。なかったつもりにはさせない」
「じゃあ…!どういうつもりでっ…」
そう声にして慌てて口を閉じた。
聞くつもりなんてなかったのに。
なかったことにして今まで通りに部長に接しようと思ってた私なら尚更。
どうにかしてる。
私も。
そして部長も。
「知りたい?」
「ひゃっ」
弄んでいた髪を私の耳にかけて、その耳元に低い声を届ける。
思わず耳を隠すと笑い声が聞こえた。
「耳真っ赤」
「~~っ!!」