ガラスの靴がはけなくても
第1章 眠れぬ夜
大学を卒業したばかりの頃に友達の結婚式の二次会で知り合った四つ年上だった彼。
それまで年上と言えば学校関係の人くらいしか知り合いがいなくて、パリッとしたスーツを着こなす社会人の彼がとても大人だと感じた。
式に参列した後と言うのもあって結婚や恋愛に対してモチベーションが上がっていた私は、その日の内に彼が気になって仕方がない存在になっていた。
それから二月(ふたつき)もすると彼氏と言う関係に変わった。
付き合った当初、年上だと言うことに捕われ過ぎて彼に見合う様にと必死だったのを覚えてる。
物分かりのいいふりをしてワガママも言わない様にした。
精一杯の背伸びをして"大人の女"に近づこうとした。
それが本当の自分を出せなくさせて、自分で自分の首を絞める結果になってしまったんだけど。
だけどそれでも我慢した。
上手くいっていると思っていたから。
幸せだと信じていたから。