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ガラスの靴がはけなくても

第3章 理性と本能


乾杯と合わせたジョッキを手に持ち冷えたビールを喉に流し込む。
今日何杯目だか分からないソレは段々と味までも薄れてきた。


酔ってはないと思うけどちょっと飲み過ぎたかも。

ふぅと息を一つ吐き出した。


「大丈夫ですか?」


「え?」


「皆が入れ代わり立ち代わりで疲れたんじゃないですか?とか言って俺もちゃっかり隣に来ちゃったんですけどね」


申し訳なさそうに苦笑いを浮かべる彼に焦って目の前で手を振った。


「全然っ!皆が来てくれて楽しいよ。ちょっと飲み過ぎちゃっただけだから。今のはため息でもつまらないからでもないからね!」


「ハハ。安心しました。でも気をつけて下さいね?」


内緒話するように耳元に手を当てられ囁くような声が耳を擽った。


「この中で藤野さん狙ってる人結構いるんで」


「……ん?」


どういう事だろうと首を傾ける私に笑顔を浮かべる澤村君。

狙ってるって、そういう意味で…?



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