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ガラスの靴がはけなくても

第3章 理性と本能


いやいやいや。

自意識過剰過ぎる自分。

ビールを喉に流し、目の前にあった冷めた焼き鳥を頬張る。


「いや、ないでしょ」


みんなそんな雰囲気じゃなかったもん。


「う~ん…。そんなにあっさり言われちゃうと、今までアピールに来てた男性陣もなんだか可哀想になるな」


ポリポリと頬を掻く澤村くん。
そんなこと言われても、ね。


「藤野さんって結構鈍感なんですね」


「えぇ~?」


「鈍感って言うか鈍い」


「ちょっとそれは失礼なんじゃないの澤村くん」


「だって気付いてないでしょ?」


「え?なにが?」


「俺も藤野さん狙ってるって」



いたずらっぽく笑ったその笑顔とその言葉に不覚にもドキリとしてしまった。



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