ガラスの靴がはけなくても
第4章 揺れる
「すみませんでした」
結局話す言葉が思いつかず、口に出したのは謝罪の言葉。
消え入りそうな程小さな声だったけど、
「…何?」
しっかりと聞こえていたらしい。
言葉を間違えたとその瞬間に気付く。
その声とその顔には何故だか怒りの色が見えていて。
「なんの謝罪?」
「えっ…と……」
なんのと聞かれても分からない。
言葉をつまらせ下を向いてシーツを握り締める私に落ちてくる溜め息。
「藤野の謝罪は聞き飽きた。昨日も聞いたばかりだ」
「っ…」
"昨日"と言う単語に大袈裟な位に反応しまう私。