テキストサイズ

ガラスの靴がはけなくても

第4章 揺れる



――――――
――――



「で?」


「え?」


「それで逃げて帰ってきたって?」


「いや…逃げたって言うか…まぁ、はい」


「そりゃ気の毒に。桐谷さんが」


「………」


だって!そうするしかなかったんだもん…!


頭の中がぐちゃぐちゃで何も言葉が出なくて。
かなりテンパって必死で冷静を装って"帰ります"の一言言うのが精一杯だったんだから。
その言葉に何事もなく送って行くと言ってくれたけど、それを断って崩れた酷い化粧も直さず逃げるように出てしまった部長の家。

すぐさま見つけたタクシーに乗り込みなんとかたどり着いた我が家。
そこにタイミングが良いのか悪いのか訪れたのは香織さんに、昨日の事をお詫びした後で一人で抱えきれなくなった胸の内を聞いてもらったのだけど。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ