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ガラスの靴がはけなくても

第4章 揺れる



昨日私が桐谷部長と帰ったことを彼氏の宏樹さんから聞いた香織さんは、心配と称した野次馬で家に来た。そんな野次馬で人の失恋をお祭り騒ぎにする彼女でさえ私の話を聞くと呆れたと言う顔をしていた。


「桐谷さんってすっごくモテるの。それはもう学生時代から」


「そう、でしょうね…」


学生時代の部長を想像する。うん。それはそれはさぞモテたんでしょうね。

香織さんと部長、それに彼氏の宏樹さんは同じ大学だったことは聞いたことがあった。


美男×2+美女


きっとこの圧巻な組み合わせは当時、学内で話題を呼んでいたに違いない。



「その桐谷さんが莉乃のことが好きだって言ってるのに」


「いや…好きって言われた訳じゃ…」


「はぁ!?あんたケンカ売ってるの?そうは言ってなくてもそう言う意味でしょーが!なのに逃げてきたなんてありえない」


毒舌美女は呆れを越えて怒りになってきたらしい。それでも苦笑いの私をわざとらしくきっと睨む。



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