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ガラスの靴がはけなくても

第4章 揺れる


ぶつぶつと小言を一通り言い終えると、コーヒーカップを手に取りそれに口を付ける香織さん。


普通のカップにインスタントのコーヒーなのに香織さんが手にすると高級なモノに見えるから不思議。

明るくて気さくでなんだか男前な性格なのに立ち居振舞いはとても女性らしく品がある。
私が憧れた"大人の女"って言うのは、香織さんみたいな人だったんだなと感じて…


「まだ好き?前のカレシのこと」


胸が少し痛んだのはまだ忘れてないからだと思う。


「正直分からないんですよね。好きだとかそういうの。でも想ってた気持ちは残ってるって言うか…」


昔の様に…付き合っていた時と同じ様に悟のことを好きかと問われれば違うと言いきれる。

だけど嫌いになって別れた訳でもないからきっとずっと嫌いになることなんてなくって。

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