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ガラスの靴がはけなくても

第4章 揺れる




「それにさ、考えるより感じろって言うじゃない?」


トリップしていた私はハッとして、タバコを吸い終わって目の前にいる彼女に顔を向けた。


「香織…さん?」


綺麗に口紅を引いた色気のある唇を意地悪く引き上げたあと、


「イッたの初めてなんでしょ?」


とんでもないことを口にする。

やっぱり言うんじゃなかった!
私の顔色はきっと赤やら青やらに変わってるはず。


「そんなにストレートに言わなくてもっ…!」


「え?じゃあなんて言うの?"絶頂を経験したのが初めて"だったとか?」


「………っ!!いやもうなんでも良いですっ」


クッションに顔を埋める私を見て声を出して笑った。


間違ってはないんだけどそれを改めて人の口から言葉として聞くと、なんとも居たたまれない気持ちになる。


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