ガラスの靴がはけなくても
第5章 赤のしるし
こう言う時に限って、入社してから一度だってなかった書類の入力ミスをする。
こう言う時に限って、いつもなら数人はいるはずのオフィスに二人きりだったりする。
頼みの綱の香織さんだって笑顔で私を残して退社してくし。
いっそのこと、私を残して帰ってくれればいいのに付き合ってくれる部長。
なんで……
なんで!!
ここ最近こんなにも色々な事が起こるんだろう……!
ミスしたのは勿論私の責任だけども!!
ついてない。ついてないよ私。
椅子が軋む音に。私じゃないキーボードを叩く音に。部長と二人っきりだってことをどうしても意識してしまう。