ガラスの靴がはけなくても
第5章 赤のしるし
「もうっ…!いつから起きてたんですか?!」
「ん?藤野がコレかけてくれた時に」
「なんで寝たふりなんか……」
「起きるタイミングなくしたんだよ」
もう本当に無理。
咄嗟に部長から視線を外したけど、赤くなる顔はおさまらないし。
それを分かってるからかクスクス笑ってる声が聞こえる。
掴まれた手が熱い。
振り払おうと腕を振ってみたけど、更に強く掴まれる。
「終わったのか?」
「えっ?あ、はい。部長のパソコンに送ってあります。遅くまでお付き合いさせて申し訳ありませんでした」
「はい、お疲れさん。で、」
「きゃっ!な、に……」
引っ張られた私は部長の膝の上。
「俺の何がムカつくって?」