半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)
第54章 笑うな!
話が無きゃ、妹と居酒屋なんて来ねえよ。
「亜美。お前、前に家庭教師してたじゃん?そこの家の旦那さん知ってるよな、オレの上司だってのは」
亜美は誰だっけ、みたいな感じで思い出していた。
「あー、友梨(ゆり)ちゃんのお父さん?知ってるよ、それがどうしたの?」
野村の娘は友梨と言って、亜美が女子大生の頃、家庭教師として友梨に勉強を教えていた。
その頃は野村の家庭はまだ奥さんと娘の3人で暮らしていたが、間もなくして野村の浮気が発覚し、離婚する事になった。
「いや、あの上司がな、お前とよく会ってるって言うんだが…ホントなのか?」
「うん、会ってるよ」
なぬっ?お前、野村と会ってるのか?てことは野村と付き合ってのか…?
「友梨ちゃんのお父さんとは飲み会でたまたま一緒になって、久しぶり~wって感じで話すようになってたまにご飯に連れてってもらってるよ。あの後、友梨ちゃんお母さんに引き取られたんだってね。まさか離婚するとは思わなかったよ~」
そこまで話したのか野村は。
「で、お前、あの人とその…何だ、付き合ってるのか…?いや、それはないよな?な?」
「付き合ってるよ」
ショック!!
お前目を覚ませ!!
相手は20才近く上のオヤジだぞ?あんなエロオヤジのどこがいいんだ、おいっ!
「お前、相手はあんな年上だぞ?しかもアニキの上司なんだぞ、解ってるのか?」
「だから?」
「いや、だからって…なぁ、何であの人なんだ?他にいい人いっぱいいるだろ?」
「アニキはあの人と付き合っちゃダメってワケ?」
「あんまり聞きたくないんだが…お前あの人とどういう関係だ?」
「どうって、ただご飯食べるぐらいの関係だけど、それが何か?」
…これはどう捉えていいんだろうか?いわゆる男女の関係にはなってないんだろうか?
単なる年の離れた友人と解釈してよいのか、どうなんだろ…