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半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)

第54章 笑うな!

翌日は定時に切り上げ、待ち合わせの場所で亜美が来るのを待った。

「お待たせ~、かなり待った?」

やや遅れて亜美がやって来た。

「お疲れ、オレもさっき着いたばかりだ」

「今日はアニキのオゴリでいいんだよね?」

「おぅ誘ったのはオレだからな」

こうやって亜美と一緒に歩くのなんて何年ぶりだろうか。

まだ小さい時はこうやって一緒に歩いてたっけな…

でも今こうやって並んで歩いていると兄妹とは思わないだろうな、誰も。

アニキのオレが言うのも何だが、亜美は可愛いという部類に入ると思う。

まぁアニキのオレは不細工だがな…

オレと亜美はチェーン店の居酒屋に入った。

「いらっしゃいませ~!」

「二人なんだけど空いてる?」

「はい、二名様、奥へどうぞっ!」

店員に席を案内してもらった。

個室みたいな部屋だな。

まぁいいか、その方が話しやすいからな。

席につき、店員がお通しを出した。

「えぇーと、生1つと、何飲むんだ?」

「じゃあ、カシスオレンジ1つ」

「何だそりゃ?普通最初の一杯はチンカチンカのルービーだろ」

「いいじゃん、何飲んだって」

「じゃ、生1つとカシアスクレイ?え?カシスオレンジか、それ1つ」

「はい、かしこまりました」

…軽くボケたつもりだが、丸っきり通用しなかった。


「どうだ、仕事は?」

「仕事?仕事ったってアタシ受付だしww別に変わった事はないよ」

「あ、そうだったな。でも受付って常に笑顔じゃなきゃなんないんだろ?」

「ん~、まぁね。でもマニュアル通りに対応してるから、ラクショーw」

受付嬢ってそんなもんなのか?

「はい、お待たせしました。生1つとカシスオレンジです」

テーブルに生ビールとカシスオレンジが置かれた。

「あ、後ホッケの塩焼きと厚揚げ、それに串の盛り合わせを」

「はい、かしこまりました」

店員が注文を聞いてカウンターに向かった。

「じゃ、お疲れさん」

「おちゅかれー」

ジョッキとグラスが軽く音を立てて乾杯した。

亜美とこうして飲むのは初めてだな。

「で、今日はどうしたの、何か話あるんでしょ?」


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