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「ヨッちゃん同窓会行かないんだって？」

奈央が焼き鳥が食べながら不満そうな顔をしてた。

バカやろ、同窓会よりももっと大事な事だ。



「うん、ちょっとその日は用事があって無理だ」

「じゃあ、その用事が済んだら来れるんじゃない？」

「そうはいかない。その日は大事な日だからな」

「大事な日って。あ、ヨッちゃんデート？もしかして彼女見つかったの？」

「いや、そんなんじゃない、もっと大事な用事だ」

どういうワケか、同窓会の件で奈央と飲むはめになった。

「ほとんどの人が出席するみたいよ。何とかその用事をずらせる事って出来ないもんなの？」

そんなアホな事が出来るか、その日オレはリングサイドでセコンドとして弾丸の試合を見届けるんだ。

旧友との再会で懐かしがってる場合じゃないんだ。

「どうしても仕事で外せない用事なんだよ、仕方ないだろ」

仕事だと言えば納得してくれるだろう。

「そうなんだ。でもヨッちゃん変わったよね。同窓会に出たら皆ビックリするんじゃない？」

「んなワケねぇだろ。大体、一言も喋らないで卒業したヤツらがほとんどだぜ、オレの事知ってるのはお前とポチョムキンと片チンぐらいなもんだ」

オレは高校時代、重度のコミュ障でまともに話した女子と言えば奈央しかいない。

それどころか、同級生の名前すら覚えてないまま卒業したんだから、オレが同窓会に参加しても「アイツ誰？」
ってなるのが関の山だ。

オレもイチイチ「えっと、誰だっけ？」何て聞くのも失礼だし、めんどくさい。

よく考えてみたら、奈央とポチョムキン、片チンの3人としか話した事しか記憶にない。


「まぁ確かにヨッちゃんおとなしかったもんね。女子で話をしたのってアタシぐらいじゃない？」

だからそうだっつ～の！

黒歴史を掘り起こすな。

「あの頃は学校辞める事しか考えてなかったよ。皆の話にもついていけなかったし、振り返っても何の記憶もないよ」

実際は辞める事と、早く初体験をしたかったというのが正しいのだが。

「そうだったの？そんな風には見えなかったけど」

そりゃそうだ、誰にも話した事はないしな。って、話す相手がいなかったのだが。

「まぁそういう事。だから行っても意味ないから」

オレはそんな事よりも弾丸のタイトルマッチの方が心配だ。