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半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)

第66章 まだ半人前だな

あの日から5年が経つ。

弾丸は日本タイトルに挑戦し、6ラウンド56秒、右ストレートでKO勝ちを奪い、チャンピオンに輝いた。

オレはセコンドにつき、勝利のゴングと共にリングに上がり喜びを爆発した。

その後、弾丸はタイトルを3度防衛した後にベルトを返上して、世界タイトルに挑んだ。
結果は12ラウンドフルに闘い、判定で敗れた。

この試合を最後に弾丸は現役を引退した。
引退後はトレーナーとして選手の育成に力を入れている。

ストライカーは自営の仕事をする傍ら、弾丸と共にトレーナーを兼任している。

たまに3人で会って飯を食ったりする関係は続いている。



オレはというと…

「ヨシヒコ、今日も行こうぜ!」

「今日は予定があるんだよ、また今度にしよう」

「いいじゃんかよ、少しぐらい」

ウルセーなデブ!こっちは大事な用事なんだ。

仕事が終わり、ポチョムキンから連絡がきた。

オレは転職し、ポチョムキンのいるアニメ制作会社の外注業者として出入りする事が多くなり、このデブとまた関わるようになった。

コイツは奇跡的に3年前に結婚し、今では1才半になる男の子の父親だ。

奥さんとは今の仕事で知り合い、同じアニメのファンという事で意気投合し、付き合うようになった。

「ちょっとだけだよ、ちょっとだけならいいだろ、ヨシヒコ?」

コイツはキャバクラ通いがクセになったらしく、週に数回は通い、お気に入りの娘を指名してはニヤケな面してご満悦だ。

このデブに指名される娘の身にもなってみろってんだ。

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