テキストサイズ

半社会人(仲村慶彦の憂鬱な日々社会人編)

第27章 パイセン社員 高橋沙織


オレはどうやったら彼女が出来るんだろうか?
まともに会話が出来ない、声は上ずってしどろもどろになる。

まともに会話出来るのは奈央ぐらいのもんだ。

今の会社に勤めて3年以上経つが、女の社員とまともに会話した記憶がない。

憂鬱だ…何故、普通に会話出来ないのだろうか?
挨拶すらまともに出来ないからな。

挨拶か…そうか、挨拶から始めればいいんだな!
よし、挨拶から訓練しよう!

しかし、頭痛い。
飲み過ぎたなこりゃ。

さて、会社に着いた。

挨拶だ挨拶。
元気よく挨拶だ。

「お、おはようございます…」

何、小せぇ声出してんだ?
もっと元気よくだろ、ヨシヒコ!

次はもっと大きな声だ。
あの女子社員に挨拶だ。

「ぉ、おはようございます!」

「わぁ、ビックリしたぁ。仲村君、おはよう。ん?酒臭ぁ…ゆうべかなり飲んだでしょ?」

オレが挨拶した相手は3年パイセンの高橋 沙織(たかはし さおり)
オレと同じ部署の社員だ。

「は、はぁすいません、ちょっと旧友と久しぶりに会ったもので…」

「えっ、何?聞こえない。何て言ったの?」

響く!頭に響く!うゎ~頭痛ぇ!

思わず頭を押さえた。
グワングワンする。

「あ、友達と久しぶりに会ったもんでつい…」
オレはもう一度言い直した。

「二日酔いなんでしょ?社会人なんだから翌日の事考えて飲みなさい、もう学生じゃないんだから」

この人、美人でスタイル良いんだが、一言多いというか、うるさいんだよな…

野村でさえ、「あんな女とは付き合うもんじゃねぇぞ。ありゃ気が強すぎて、彼氏なんて出来ねえだろうな」
なんて言うぐらいだから、相当な人物なんだろな。

確かに細かい事をあれこれ言うタイプで一緒にいると疲れるかもな。

顔もキリッとして、一言言ったら何倍にも返ってきそうな感じの雰囲気だ。

「仲村君、聞いてる?」

「は、はい、すみません」
頭痛てえよ!
アンタの声、かなり響くぞ!


すると沙織はバッグの中をゴソゴソしてオレに錠剤を渡してくれた。
「はい、これ頭痛薬。これ飲んで二日酔い治しなさい!」

んだから頭に響くんだよ、アンタの声!
「あ…ありがとうございます」

オレは一礼して、自販機のコーナーに行き、ミネラルウォーターを買って薬を飲んだ。

午前中は仕事になんねぇぞ、こりゃ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ