
bittersweet
第1章 1. 再会(現在)-riko side-
翌日ーーーー
「はい、これ新曲のデモと、過去のMVと、後これ宣材写真。 莉胡ちゃん男の子のアイドルあんまり知らないでしょ。 莉胡ちゃんと同じ関西出身だし、話しやすいと思うから、メンバー1人1人の名前とか、一応覚えといてあげてね」
「はい、」
受け取ったプロフィール付きの宣材写真に目を落とす。
「へぇ……めっちゃアイドルしてるやん…」
肩を組んで写っているメンバーの中の1人を見て呟いた。
ー上谷朋哉(かみたにともや)ー
約10年間、見ないようにしてきた名前。
朋とは小さい頃から同じダンススクールで一緒に練習して来た、幼なじみであり、ライバルだった。
お互い5歳からダンスを初め、そこから10年間、朋は私よりちょっとだけダンスが上手くて、いつか抜きたい、負けたくないって、ずっとその背中を追い掛けてきた。
なのに15歳のある日、突然辞めてしまった。
当時からデビューを目指して人気アイドルのバックで踊ったりしていたから、そっちの方が忙しくなったらしい。
ダンスを辞めてから朋はお仕事が増えたらしく、TVや雑誌によく出ているようだった。
私は、ライバルが居なくなった事の悔しさと虚無感と、私に何も言わずに辞めて行った事への苛立ちから、極力朋の事を見ないように、考えないようにして、今までより更にダンスに打ち込むようになった。
20歳の時、地元の成人式に朋は来なくて、がっかりしている自分と、ほっとしている自分が居た。
その年、朋のCDデビューが決まり、更にTVや雑誌の露出が増えていった。
私は私で、もっとダンスのスキルを上げる為にLAへとダンス留学していた。
2年後に帰国してからは上京し、アーティストのバックで踊ったり、アイドルの女の子達に振り付けを教えたりして今に至るーーー
この仕事をするようになってから、もしかしたらどこかで会ってしまうかも知れない、仕事で一緒になるかも知れないとは思っていた。
でもまさか振付のオファーが来るなんて…
今まで、依頼された仕事を断った事は無かったし、これからもよっぽどの事情がない限りこのスタンスを変えるつもりはない。
実際に大人になった朋に会うのかと思うと複雑な心境だったが、気持ちを切り替えてイヤホンを耳にあてた。
「はい、これ新曲のデモと、過去のMVと、後これ宣材写真。 莉胡ちゃん男の子のアイドルあんまり知らないでしょ。 莉胡ちゃんと同じ関西出身だし、話しやすいと思うから、メンバー1人1人の名前とか、一応覚えといてあげてね」
「はい、」
受け取ったプロフィール付きの宣材写真に目を落とす。
「へぇ……めっちゃアイドルしてるやん…」
肩を組んで写っているメンバーの中の1人を見て呟いた。
ー上谷朋哉(かみたにともや)ー
約10年間、見ないようにしてきた名前。
朋とは小さい頃から同じダンススクールで一緒に練習して来た、幼なじみであり、ライバルだった。
お互い5歳からダンスを初め、そこから10年間、朋は私よりちょっとだけダンスが上手くて、いつか抜きたい、負けたくないって、ずっとその背中を追い掛けてきた。
なのに15歳のある日、突然辞めてしまった。
当時からデビューを目指して人気アイドルのバックで踊ったりしていたから、そっちの方が忙しくなったらしい。
ダンスを辞めてから朋はお仕事が増えたらしく、TVや雑誌によく出ているようだった。
私は、ライバルが居なくなった事の悔しさと虚無感と、私に何も言わずに辞めて行った事への苛立ちから、極力朋の事を見ないように、考えないようにして、今までより更にダンスに打ち込むようになった。
20歳の時、地元の成人式に朋は来なくて、がっかりしている自分と、ほっとしている自分が居た。
その年、朋のCDデビューが決まり、更にTVや雑誌の露出が増えていった。
私は私で、もっとダンスのスキルを上げる為にLAへとダンス留学していた。
2年後に帰国してからは上京し、アーティストのバックで踊ったり、アイドルの女の子達に振り付けを教えたりして今に至るーーー
この仕事をするようになってから、もしかしたらどこかで会ってしまうかも知れない、仕事で一緒になるかも知れないとは思っていた。
でもまさか振付のオファーが来るなんて…
今まで、依頼された仕事を断った事は無かったし、これからもよっぽどの事情がない限りこのスタンスを変えるつもりはない。
実際に大人になった朋に会うのかと思うと複雑な心境だったが、気持ちを切り替えてイヤホンを耳にあてた。
