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誰も見ないで

第8章 記憶



それから、約束通り正樹は度々家に来てくれるようになった

その度に3人で楽しく話して
瑞稀君の表情も大分明るくなったみたい


その日も俺は恒例のように家に帰る正樹を途中まで見送りに行った

すると


「最近表情明るくなったよね、瑞稀君」


と言われた


「やっぱり正樹もそう思う?」


急激に俺のテンションが上がる


良かった
俺の勘違いじゃないんだ


「うん。よく笑うようになったし」


だよねだよね!
あぁ良かったほんとに


そんなことを話しているうちにいつもの場所に着いて、俺たちはお互いに手を振った


「瑞稀君元気になって良かった。また来るね」
「うん! 今日もありがと」


俺は正樹と分かれて、瑞稀君やっぱり明るくなったって、とウキウキしながら家に帰った


「ただいまー」


家に入ると、丁度瑞稀君がお風呂から出て来たところだったらしくてタオルを持った寝間着姿の瑞稀君と鉢合わせる


「おかえりお兄ちゃん」
「うん、ただいま」


なんかこのお兄ちゃんって呼ばれるのにも慣れた気がする

悲しいけど

でもほら、瑞稀君が元気になるのがまず1番だから

記憶とかは後でいいよ
ね?


自分に言い聞かせるようにして、俺もお風呂に入った



夜、俺が本を読みながら部屋でゴロゴロしていると部屋の扉がノックされた

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