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誰も見ないで

第8章 記憶

紺野瑞稀目線


気がついたら僕は数人の大人に囲まれていた

小さな部屋に入れられて、いくつかの質問をされる


名前は
誕生日は
家族は
友達は

何か、覚えてることは


僕にはそれになに1つ答えられる記憶がなくて、自分のことなのにどうやって自分がここまで育ったのかすらわからなかった


部屋を移動して座らされて
女の人に「ちょっとここで待ってね」と言われる

待つ、以外に僕が出来ることはないし
頷きで返事をして座っていた

暫くして男の人が入って来て「もうすぐ来る」と女の人に伝えてまた出て行った


誰がもうすぐ来るんだろう?


女の人に聞いてみようかな、と思ったけど
聞いたところで誰かわかりそうにもないしやめる


頭がぼーっとして思考が纏まらない
記憶がぐちゃぐちゃしてて

あれ、僕って何でここに座ってるんだっけ


そうだ人を
待ってるんだ


そう思った時部屋の扉がノックされてさっきの男の人ともう1人、多分さっき「もうすぐ来る」と言われてた人が入って来た

そしてその人をひと目見た瞬間


僕は恋に落ちてしまった


見た目の綺麗さもきっとあると思う
けど、それだけじゃない別の力に引き寄せられるみたいに視線を奪われる

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