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誰も見ないで

第8章 記憶


口から漏れる声も全部染み込ませる

そして


「す、き……すき、お兄、ちゃ……、っく、イ……っひぃん……っ!!」


自分の手の中に白濁した液を吐き出した


「はぁ、はぁ、はぁ……」


肩で息をしながら、自分の出したものを眺める


僕、変態になっちゃったみたいだ




なんて落ち込んだくせに、正樹君が家にやって来た日実際に会ってみてからは僕の悔しい気持ちは更に高まった


お兄ちゃんに負けないぐらい、かっこいい
背も高い


僕にも優しい笑顔で話しかけてくれて
記憶のないこともわかってるから気にしなくていい、と言ってくれた


話に聞いてた通りだ
かっこいい上に、優しい


お兄ちゃんがお茶を用意しに行ってる間に先に2人で部屋に入って聞いてみると、本当に小さい頃からの仲みたい


さっきお母さんたちとも仲よさそうに挨拶してたし
なんだか

この家で僕だけが他人みたいだ


なんて、すごく寂しくなった


けど、お待たせ、とお兄ちゃんが入って来て顔が見れれば急にほっと安心できるから不思議

でも今度は


「ん、なに?」
「あー動かないで。髪にゴミついてる」


なんて正樹君がお兄ちゃんに触れれば嫉妬でモヤモヤした


「瑞稀君見て」


なんて言われて2人で仲良くされた時は、上手く笑えた自信がない

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