初恋
第2章 窓の向こうに
君、寒くないの?と咄嗟に聞いて
いやそれ以前に怪我はないのかと、聞き直した。
「受け身をとったから怪我はないわ」
あるだろ擦り傷と思ったが、どうやら頭から落ちたわけじゃないみたいだ。
俺はホッとしていた。だけど
「やっと話せた!」
ひとの心配も何のその。彼女はスクっと立ち上がり、奇妙なくらいに目を輝かせて近寄ってきた。
「誰もわたしと目を合わせてくれないし、話しかけても無視するの。あなたが初めてよ!」
そんな馬鹿な話があるか。
でも確かに、ここまで怪しい子がいたら関わりたくない気持ちもわかる。
げんに俺も、無意識のうちに後ずさっていた。
なのに近付いてきた彼女に手を掴まれて、俺は逃げ道を失ったんだ。