初恋
第5章 君がくれたもの
まるで、じゃないか。
君は帰る場所を失ったんだ。
大切な人を奪われたんだ。代わりの存在に。
「…ぅ……ぅぅ、フっ…ぐ、う…!! 」
君の嗚咽がやまない。
こういう時にはどうするのが正解なんだろう。
なんて声をかけるのが正しいんだろう。
「……すぐ迷子になるくせに、家から出た君が悪いんだろ」
俺は、気の効いた言葉なんて知らない。
「迷子になったの初めてじゃないだろ」
「…ッ─…ぅ、…!? 」
「三年前にも同じことをしただろ。家に帰れなくなった……その時に、会っただろ。俺と、ここで」