マリア
第12章 追走曲
「う……そ!?」
翔くんと二宮くんが…!?
目の前が…真っ白になった。
翔「そんな驚く?智くんだって、いずれはあのイケメンに抱かれたい、って思ってんじゃないの?」
「やっ…離してっ!!」
翔くんは、僕の腕を強く引き寄せ、間近に顔を近づけてきた。
翔「ね…アイツとヤる前に…俺としない?」
「なっ……何…言って…」
翔「初めてなんだろ?優しくしてあげるからさ?」
翔くんは、僕の顎を持ち上げ、さらに顔を近づけてきた。
「イヤッ!!やめ……っ!!」
翔くんは、
もう片方の手で嫌がる僕の顔を自分の方へ向けさせ、
………キスしてきた。
「んーっ、んーっ、んーっ。」
翔くんの体を押し戻そうとしても、
僕よりも体格もよく、程よく鍛えあげられている体は、
びくともしなかった。
余りの息苦しさに根負けしそうになって口を開けようものなら、
翔くんは角度を変えて唇を抉じ開けようとしてくる。
それでもやっぱり我慢できなくて、思わず唇を少し開いてしまうと、
待ち構えていたように翔くんは口内に舌を捩じ込んできた。
イ…ヤ……ヤメテ……!
その時だった。
口の中一杯に鉄の味が広がったと思ったら、不意に呼吸が楽になっていていて、
遠退きかけた意識の中、
僕の目の前で翔くんが、口元を押さえて蹲っていた。
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