マリア
第3章 間奏曲
翔side
智「もっとゆっくりしてきたらよかったのに…」
そんなことを言いながら、
久しぶりに肩を並べて帰る懐かしさに顔がつい綻んでまう。
智「ね、何か食べてかない?」
俺と智は今でも甘いものが大好きで、
顔を合わせれば必ず何かしら甘いものを口にしていた。
智「あ!!こんなところにクレープ売ってる!」
嬉しそうに、クレープの移動販売車に駆け寄る智の後ろに続きながら、
財布の中身をチェックする。
…全然足りねぇ。
智「どうしたの?」
振り返った智に、
有り金を手のひらに乗っけて見せた。
智「んー、僕、いくら持ってたかなあ?」
おいおい智くん?……(汗)。
でも…。
智「僕と翔くんの持ってる分合わせたら買えるんじゃない?」
「でも、一個しか買えないじゃん?」
智「半分コしたらいーじゃない?」
「野郎二人で一個のクレープ、食うの?」
智「じゃあさ…」
智は、
小首を傾げ俺の目を見て笑った。
智「僕を礼音だと思ったら?」
え………
買ってくるね?と、
笑う智に俺の今の全財産を託した。