マリア
第17章 序曲 ①
どれぐらい寝ていたのかは分からないけど、
やたらと玄関のピンポンがうるせぇな?って感じで目が覚めた。
あ…二宮?
空腹とまだ体調が万全でないのとで、
時折壁に寄っ掛かったりしながら、ふらふらした足取りで玄関に向かう。
「はいはい、分かったから!今開けるから!」
借金取りかよ、とツッコミながら玄関のドアを開けた。
え……な、なんで?
智「風邪引いた、って聞いたから。」
驚きすぎて動けないでいる俺と智の間をすり抜けるように買い物袋を下げた二宮が中に入ってきた。
和「俺、櫻井さんの家、知らないもん。大野さんに聞こう、と思って事情説明したら一緒に来る、って言うから…」
…うっかりしてた。
和「はい、取り敢えず、これ。」
と、これ、って言いながら、
二宮は白い紙切れを俺の目の前でヒラヒラさせた。
和「レシート。」
奢りなワケないでしょ?と、二宮は手を出した。
「いいじゃねぇか、金持ちなんだから奢ってくれても?」
二宮の手をぺしり、と叩いた。
和「金持ってるのは俺じゃなくて俺の親。それに、とびきり美人のコンパニオン連れて来てあげたでしょ?」
と、買い物袋を手に階段を上がっていく智をアゴで指した。
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