マリア
第17章 序曲 ①
智「翔くん、何してるの?早く!」
いつまでも二宮と玄関で盛り上がっている俺に業を煮やした智は、階段の途中で荷物を下ろしこちらに戻ってきた。
智「二宮くんも!!いつまでも病人を玄関に立たせてちゃダメ!!」
と、智は俺の手を掴んだ。
和「…すいません。」
小声でお邪魔します、と玄関でスニーカーを脱ぐと、背中を丸めた二宮が俺と智のあとに続いた。
智「翔くんはおとなしく寝てて?」
キッチン、借りるね?と、智は一階のキッチンへと降りていった。
和「何か…すいませんね?ウチの兄貴の嫁がごちゃごちゃと。」
「…いいけど…。」
俺は、二宮に背中を向けシーツの中に潜り込んだ。
俺は落ち込んでいた。
こんな惨めな自分を智の前に晒け出してしまったことに。
和「もしかして、怒ってます?」
「うん…」
和「すいません、いい、って言ったのに聞かなくて…」
「もう、いいよ。」
和「あの……あれから大野さんと何か話しました?」
「何か、って?」
和「俺との話、とか?」
「してない。てか、ゆっくり話なんて出来ないし。…なんで?」
二宮は部屋のドアを開け、辺りを見回してからまた、ドアを閉めた。
和「実はここに来るまでの間に聞かれたんですよ。大野さんに。」
「ふーん、何て?」
和「櫻井さんと付き合ってんのか、って?」
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える