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裏小屋

第3章 山遊びと小屋探索

「あっ!」と桝本がなにかを思い出した。


 燻製!

 燻製のことをすっかり忘れていた。

 二、三回木くずを足し、鍋が見えないくらいの白い煙を焚きまくっていたが、いつの間にやら煙もなくなってきている。

 軍手をはめ、すすで黒くなった鍋を返して見る。


「おおっ!!」


 出来上がったのは……




 見事に炭。

 炭化した肉に火がつぎ、暗くなりつつある中でじんわりした明かりを灯していた。


 原因は燻す肉と、スモークチップ代わりの木くずとの間が近かったことと、松の木くずに付着した松ヤニが、火力を強めたのではないかと……。

 豚肉なんて、持ったら崩れるほど。

 引火した鳥もも肉なんて、そうそう見れるものではないだけに、ある意味貴重だったが、食べものを粗末にしてしまったことへの後悔と反省か、その場でへたりこんでしまった。


「ひろっちゃん、ごめん、せっかく買ってきてくれたのに……」

 高橋は謝る桝本に対し、快く許してくれた。

「かまへんかまへん、これ成功されても、もう肉は食われへんわ」

 てめえが10キロも買うからじゃボケ!!


 キャンプいって食べ放題決行するやつ、どこにおるんじゃ!!


 最初、食うても食うても量が減らへんし、食えば食うほど逆に増えてるんじゃないかと疑ったわ。

 2度とするなよ!!


 て、数年後、みんなでバーベキューやったとき、参加者が二人増えただけで、15キロ買ってきやがったし、10でも余るわ!!

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