テキストサイズ

裏小屋

第4章 テントの中で

 すると馳谷。

「コーヒー飲んだら、うちのテントおいでや」

 桝本は「向こう四人用テントやろ。狭くないか?」とためらったが、五人で夜を過ごすなんて、今までは初めてのこと。

 石柿も飲んでから行くとのことで、先に飲んだ桝本が馳谷の後に向かった。

 高橋と勝山が、テントの真ん中にお菓子やドリンクを広げ夕飯の酒が今ごろ来たのか「ウィーー」と、スタンハンセンの雄叫びのような声を上げていた。

※スタンハンセンとは、80年代から90年代くらいまで、日本のリングで暴れていた外人プロレスラー。指を高く突き上げ「ゆぅーーす」と叫ぶパフォーマンスを見せていたが、我々の耳には「ウィーー」と聞こえていたため、いつの間にかハンセン自身も「ウィーー」と叫ぶようになったとか。



 すると後ろからぬぼぉーっと、石柿も顔を出した。

 勝山が「まっすん、石柿、ようこそ我が城へ」と迎え入れてくれた。

「どこの原住民の城やねん。貧乏臭い城やんけ」と桝本が返す。

 高橋が紙コップを配り、ドリンクを入れてくれる。

「ひろっちゃん、勝山の召し使いになっとるやんけ」と桝本。

「なにを言うんや、執事と言え」

「たいしてかわらんわ」

 テントの中が、笑いに包まれる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ