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裏小屋

第4章 テントの中で

 だが、そこは勝山も「まあ、確かに、勝手に入ったのも問題やけど、入ったんは、まっすんだけやからななんで、はせやんとひろっちゃんが怒られなあかんねん、それが腹たったんよ」

 勝山は大人しくそう言った。酒が入ると、ちょっとしたことで、腹がたったり、愚痴っぽくなる。これでよく、問題が起きないものだ。

 すると、入り口のファスナーを開け、勝山が外に出ようとする。


「ちょっと、リトルジョーしてくる」

 リトルジョーとは、おしっこのことだ。

 外に出た勝山が一言。

「あれっ!? 雨ふってんちゃう?」

 そう言われてみれば、かすかだが、テントにポツポツとなにかが当たるような音がする。

「雨きたけど、これくらいは問題ない!」

 そう言って勝山は、草むらの方に行って、用をたした。

 やがて雨が強くなり、勝山はなにを思ったのか、上半身裸になり、大声で「天よ! めぐみをありがとぉーーっ!!」と叫びだした。

「なにをやってんだ、あいつ?」と高橋。

「酔いが悪ふざけを呼んだな」と桝本が冷静に判断。

 勝山は、なぜか桝本と石柿のテントの方に移動した。

「まっすーーん、ラジオ持ってたなぁ」と声がした。

「あるよーっ!」と桝本が返す。

「リュックから出していいか?」

 桝本のリュックには、小さめのラジオが入っていた。

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