蜘蛛♠
第4章 誤算
玄関を開けたS子の体が硬直した。
「えっ…………………。ど!!どうしたの圭ちゃん!!えっ!!!??何???どうしてこんなとこで寝そべってるの!!!あっ、M奈!!」
玄関でうつ伏せになる川澄を見て、焦りだすS子。そしてその横で静かに佇むM奈。
「S子~!早かったね~!帰ってくるの!子供達は大丈夫だった?」
M奈は何事もなかったように、おどけた表情でS子を見た。
「あ~、寒くて途中で引き返してきちゃったわ。それよりM奈、寒くないの?圭ちゃんは何してるの?」
S子の問いかけに川澄は動揺した。
「えっ…………、あ~~~………、いや、そのさ~……」
すると、とっさにM奈がフォローを入れる。
「あっ、大変なのよS子~!圭ちゃまコンタクトを落としちゃったみたいで!!それで今、床を一生懸命探してるの~!!で、お腹冷えるとあれだからさ~、私のパーカーを腰に巻いてあげてるの♪」
M奈のとっさに出た、苦し紛れの対応に川澄の胸が高鳴った。
無理があるだろそれ!!!
俺の露出された下半身を隠すとこまではナイス判断だ!
よくあの瞬時に機転を利かせた!!でも、お腹が冷えるという理由じゃ無理があるでしょ!!
恐らく廊下にうつ伏せになって、コンタクトを探してるから、お腹が冷えると言いたいんだろうが、それでこの状況は突破出来ないぞ!!!
思いながら川澄はS子の表情をチラリと観察した。
川澄のその右手には、M奈のピンクのおパンティーがしっかりと握られている。
川澄の腰元にS子は視線を移した。
「そう。私も一緒に探そうか?」
焦る川澄。
それはまずい!!!万が一M奈のパーカーが腰から落ちたら、俺のプリチーなお尻が見えてしまうではないか!!!
だがここで再びM奈がフォローに入る。
「大丈夫よ~S子~!それよりS子が作ったモツの煮込み、圭ちゃまに食べさせてあげようよ~!お腹すいてるよね?圭ちゃま♪」
M奈がウインクで川澄に合図を送る。