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蜘蛛♠

第5章 能力者


さらにその左手先にも、大きな部屋が見える。ソファーやテレビなどが置かれていて、テレビに関しては、この場所からでも分かるほどかなり大きい。
そして、ここから見て右手先にも、扉が閉まっているが部屋があるようだ。
川澄のすぐ右手にも扉がある。おそらくトイレとお風呂があると想像した。
いや、待てよ。
先ほどM奈に襲われた玄関から続く廊下にも、左手に一つ扉があった。
子供の部屋だろうか?
やはりけっこういい部屋に住んでるようだ。

S子とM奈は台所で何やら作業をしている。テーブルの上には、いくつもの料理が置かれていて、腹ペコの川澄のお腹を刺激した。

とにかくS子に接触して、早急に誤解を解きたいところ。
だが、近くにM奈がいて行動に移すのが難しい。
いや、そもそもM奈に接触するのも気まずい。先ほどM奈に犯されかけたこの状況で、どうM奈の目を見たらいいのか分からない。
そしてM奈は、川澄があの「変態仮面」姿を、S子に見られた事をおそらく知らないはずだ。

すると、M奈が川澄に気付き振り返った。
「圭ちゃまおかえりぃ~♪待ってたよ~♪コンタクトは無事に見つかったかな?♪」
ウィンクをしながら川澄に返答を求めた。

流れる冷や汗を手で隠し、川澄は答える。
「う、うん!!見つかったよなんとか!!それより美味しそうだねこの料理~!!めっちゃうまそうなんだけど!!」
M奈と視線は合わせず、料理を見つめた。
唐揚げ、サラダ、煮物、焼き魚、その他名前の知らない料理が諸々と………
常に栄養失調気味の川澄にとって、どれも摂取しておきたい食事だ。
腹が減っては戦はできぬ。

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