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蜘蛛♠

第1章 幻影旅団

第4話

川澄は布団に深く潜りこみ羊を数えていた。
時刻は深夜12時を回り、世間で言われるひな祭りという日がつい先ほど終わりを告げたばかりだ。


S子達との決戦の日まで残り一週間をきった。

この決戦、ミッションの達成条件は以下の通りである。

・S子と、セックスをして再び能力を盗むこと。(ついでにS子の友達も)

・それを全国に生中継して、幻影旅団の名を全国に売ること。

たったこれだけだ。

たったこれだけなのに川澄はなぜか不安を隠せなかった。

いつもの旅団の仕事とは何かが違う。

決定的に足りないものがあった。

情報………………

つまりS子の情報だ。

何度もS子を思い出そうとするが、なぜかあまり思い出せない。
それどころか決まって頭痛が襲ってきた。

確かにあの頃、S子とよく遊んでいた。関口も何度か一緒に遊んでるはずだ。
顔は思い出せる。

だが、何をして、遊んだ?
そもそも川澄はS子とセックスをしたのか……??
その記憶がポッカリと頭から抜けていた。

S子の能力……………

思い出せない………………。


川澄の能力はセックスした相手の能力を盗みそれを自在に引き出す。

だが、この『盗賊の極意』にはある程度の制限がある。

盗んだ能力を使えるのは盗んでからちょうど10年間まで。
10年を過ぎるとその能力は抹消されてしまう。

今、ここでS子の能力を引き出しS子とセックスをした証拠を出したいところだが、残念ながら10年以上前の話なのでその確認はできずにいた。

川澄は携帯を取りだし、ここ最近のS子とのLINEのやり取りを確認してみた。

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