マジカル☆ステッキ
第6章 初めての気持ち
真実を知れば彼は“覚悟を決めた”ことに、後悔するかも知れない。
────なぜ、きづけなかったのか。
なぜ、今になって気づいてしまったのか。
他人の気持ちなど、今までアリサは深く考えたことはなかった。
だからこそ、彼女はワガママで自分の行動に迷いなく突っ走ることができた。
自分は他の人たちとは違う。
だから理解されなくても仕方ないものだと。
けれど、ヨシヒロの真摯な瞳を見ていると、アリサの心に警報が鳴り響く。
自分を慕う、穢れなき真っ直ぐな双眼。
宝石のような輝く瞳に、アリサは堪えきれず目をそらしたくなる。
真実から逃れるように。