
マジカル☆ステッキ
第6章 初めての気持ち
「だから……ごめん」
ヨシヒロの気持ちには答えてはならない。
これはアリサの抱える問題とは別の問題なんだと。
彼の気持ちは本物だった。
アリサにとってはそのほうが都合がよく、最終的にはヨシヒロを“英雄”と呼ばれる存在にまで連れてゆく覚悟をしていた。
そのためにはヨシヒロの信頼が必要だった。
魔王を退治できれば、ヨシヒロに真実を告げなかった免罪符になるはずだと自分勝手に解釈をして。
(……自分はヨシヒロを騙していたのに)
本物だからこそ、ヨシヒロの気持ちは無視できないことに気づくのが遅すぎた。
何よりも、まずはそのことを忠告するべきだったのだと。
