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「お願いだよアリサ」

「いやよ、わたしは先に港街で待ってるから」

「そんなー」

　勇者は、旅立つ前に登城し王に謁見をする義務がある。
　規則という割には、勇者であっても簡単に城へは入ることが出来ない。

　アリサは権力と言うものが大ッキライだった。
　できれば王都は通り過ぎ、港街でのんびり待ってるほうがいい。

　なんせ、王都に入り城壁まで行くのに徒歩で二時間ほどかかる。
　川をはさみ、港街に行くのは三十分ぐらいのものだ。