マジカル☆ステッキ
第1章 プロローグ
「勇者ならここにいるじゃん」
ヘラヘラと緊張感のない表情でアリサの怒りを煽るのは、自称 勇者ヨシヒロ。
「…………笑えない冗談だわ」
「本当だって! ホラっ」
ジト目で見るアリサにむかって、堂々とヨシヒロは身分証明書を突き出す。
“能力どれも平凡よって勇者と名乗ることを認める”
「ほんとっ笑えないし」
「ああぅ、もうソレで叩かないでよ。地味に痛いから」
オールマイティにこなせる勇者と特に秀でた才能のない勇者。アリサはやり場のない怒りをヨシヒロにぶつけるしかなかった。