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第2章 故郷
「何か手伝おうか?」
「ありがとう!料理は得意?」
「あんまりしたことないな」
ミーシャはふふふと笑いながら
「座ってて」とエメに言う
笑いながらエメも
「承知した」と言い、イスに座り直す。
「ねぇ」
背中を向けたまま、ミーシャが言う。
「ん?どうした?」
「私からも、質問していい?」
「どうぞ」
「エメはどこからきたの?」
「僕はシュンパティアから」
「シュンパティア?ゴーレムの都の?」
「そうだよ」
「ずいぶん遠くじゃないの?」
「途中までは陸を旅してたんだけどね。
ゴーレムに守られる島国があるって聞いて、
いてもたってもいられなくなったんだ」
ミーシャは笑う。
「でも土で船を造るなんて」
「僕は不器用でね、木で物を造るのは自信がなかったんだよ。
ゴーレムの応用で造ってみたんだけど、
やっぱりダメだったね」
ミーシャはなるほどねと笑ったあと、質問を続ける。
「家族は?どうしてるの?」
「僕に家族はいない。
ゴーレムの天才的技術者である
先生に育てられたから、家族は先生だけさ」
「そうなの……」
「先生にゴーレムの造りかたを教わっていたんだけど、全然先生にはかなわなくて。
先生は世界中のゴーレムを見てこいってさ。
それで旅を」
「へぇ、先生には追い付けそう?」
「全く」
「すごい人なんだねぇ。私はすぐにピムを治しちゃう君もすごいひとだと思うけど」
「もっもっもっ」
「ゴーレムはね、いくつも術式を組んで整形するんだ。ピムは、形状術式。歩行術式。応答術式。命令術式で四つだから、比較的治しやすいよ」
「そうなんだ。でもほんとに感謝してる。
この街にいる間は、うちにいてね」
「ありがとう。助かるよミーシャ」