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第4章 変革の代償
着替えたミーシャが部屋から出ると、廊下にマインが待っていた。
「よくお似合いですよ、ミーシャ様」
ミーシャは少しスカートを持ち上げて、自分で確認しながら答える。
「なれないわ、思っていたより重たくて」
マインはにこりと笑う。
「すぐ慣れますよ、着いてきてください。領主様のお部屋へご案内します」
2人は階段を降りて、正面にある入口から真っ直ぐ入る2本の階段の間を歩く。
しばらく歩いていると、外が見える廊下に入る。
両サイドには装飾のように一定の感覚でゴーレムが立っていた。
(この子たちはみんな動くのかしら、、、)
ミーシャはそんなことを思いながら、窓の外に目をやると
大きな大砲のゴーレムの足が見えた。
(近くで見ると、ほんとに大きい)
廊下の突き当たりには大きな扉が待ち構える。
その扉の前で、2人は立ち止まる。
マインがノックをし、失礼しますと言うと扉がひとりでに開いた。
その部屋には___領主様。それと、マインの服によく似た服を着た女性が1人。
マインとは違い、黒い服を着ている。
扉が閉まり、マインとミーシャが領主のもとへ歩くと、領主は待っていたと言わんばかりに椅子から立ち上がり、机を避け歩み寄ってきた。
「待ちましたよ。ミーシャ、よく似合ってますね」
ミーシャは少し俯いている。
「、、、ありがとうございます」
領主が続ける。
「いま、彼女から伝言を受けた所なのですよ」
領主が黒い服を着た女性に目をやり、またミーシャを見る。
ミーシャの頭にエメが思い浮かぶ。
「、、、エメ」
「残念ですね、あなたは捨てられたみたいですよ。私の元では働かない、と断られてしまいました。あなたを引き換えに出したのに、です」
(エメ、、、断ったんだ。それでいいの、、、私は、重りにはなりたくないもの)
心ではミーシャはわかっている。それでも。
どこかで悲しい気持ちがあることもわかっていた。
「さて、今日は夕食のあとにいい所に案内しますから、楽しみにしていてくださいね」
いいところ___私にはきっとそうではないのだろう。領主の顔をみて、ミーシャそれを悟った。
「さて、夕食のパーティです。向かいますよ」
領主がミーシャの手を引き、大きな扉を開けた。