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eme

第1章 漂流

もっ…………もっ…………

聞きなれない声が耳元で聞こえる。

______いいにおいだ。

ゆっくり目を開けた青年を覗きこんでいたのは、
はにわとしか言いようがないデザインのゴーレムだった。

(ゴーレム?)

青年はゆっくり状態を起こす。

ポトリと音をたてて、太もも辺りにタオルが落ちる。
どうやら額に当てられていたようだ

だれかが看病をしてくれていたようだ。
エメは船で海を進んでいたが、
どうやら船が浸水したらしい。

ゴーレムは もっもっ と呟きながら
部屋を出ていった。

ゴーレムが出ていった方が騒がしくなり
しばらくして、
ゴーレムと一緒に
一人の女性が入ってきた。

「目を覚ましたのね?大丈夫?
きみ、
すぐそこの浜に打ち上げられてたんだよ?」

青年と同じぐらいの年齢。
金髪で、背中辺りまで髪がある女性が言う。

「すまない、迷惑をかけたみたいだね。
僕はエメ。やはり土で船を造るのはだめだな。」

女性は驚く。

「あはは!それは沈んじゃうね!
私はミーシャ、よろしくね!」

「どれくらい寝てた?」

「まる一日だよ!
お腹、すいてない?
いま昼御飯作ってるから……
っと、いけないいけない!」

パタパタと走って
来た扉の方へ戻るミーシャ。
いいにおいはそれか、と納得するエメ。

ふと、ゴーレムと目が合う。

古い形だ。
あまり高額なものでもない。
女性でも抱えられるくらいのサイズだ。

もっもっ

「それは君の声だったか。」

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