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第3章 街の闇

布団の塊から、鼻をすする音が聞こえる。

「……ないてるのか?」

「……」
返事はない。

エメは隣に座る。そして、布団の上から頭を撫でた。
布団からこもった声でミーシャが言う。

「……だって人を殺しちゃうような人だよ?……怖いよ」

「……そうだね。でも、みんなそうして来たんだろ?……領主が変なルールを決めている、なんてことは旅の途中ではよくあったよ。不安なら、明日、領主様を調べてみるよ」

エメにはもうひとつ、気になることがあった。
それはゴーレム技術者を街から減らしたことだ。
なにか女性たちと関係があるのだろうか。

ミーシャが布団から頭を出す。

「危ないことはしないでね」
城の回りは一般人は近寄らない。
領主に媚びたゴーレム技術者や、位の高い人間がすんでいる。その上大きな大砲までついた城。
何が起きるか分からない。

「僕は大丈夫」

「どうして?」

「僕は鍛えているからね」
ミーシャはまた妙な言葉の力強さを感じる。
彼なら本当に、大丈夫かもしれない、と。

「ふふふ、へんなの」

ミーシャは少し笑ったあと、また不安な表情に戻る。

「エメ……私、エメに謝らないといけない」

「なにを?」

「昨日……したじゃない?」

「……うん」

「領主様、あんなだからきっとエッチなこともしてくるだろうって思ってるの」

「……うん」

「でも……初めては、好きな人とって、思ってて」

「僕で、良かったの?」

「ピムをなおしてくれた時、私、エメがカッコいいって思ったの……好きじゃないと、しないよ?」






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