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eme

第3章 街の闇

その日の夜。

ベッドの中でエメはこの街について記憶の整理をしていた。

領主の城にある大砲を携えた巨大なゴーレム。
外面はそれで街を守っている、ということだが、
領主に歯向かう者に大砲を使用している。
それにより街の人々は領主に歯向かうことが許されない。

領主は街の女性を、18歳の始め二日間のみ自分の城へ召喚する。

そこで女性に「なにか」をしている。

本人曰く、「ひどいこと」を。

女性の中には、それをわかっていて城にとどまる者もいる。

その内容は定か出はないが、それを調べる必要はない。

何故ならエメは旅人であり、所詮はよそ者なのだ。

しかし来週、ミーシャは18の誕生日がくる。

「……最後はミーシャ次第だ」

ボソリとつぶやいた時、扉から音がした。
ゴン……ゴン……

ノックと言うには違和感を覚える。

(なんの音だ?)

エメはベッドから起き、扉の前に立つ。

扉をゆっくり空けると、ピムがいた。

「何だピムか……どうした?」

「もっもっも」

ピムが腕を向けるのは、ミーシャの寝室。

「……行けばいいのか?」

「もっ」

「……わかったよ」

ミーシャの寝室のドアをノックする。

「ひゃわっ」

驚いたせいか、扉のむこうから
いつもより高い声が響く。

「……入っていいかな」

返事がない。

「……入るぞ」

ドアを空けると、ベッドの上で布団に丸まっているミーシャがいた。

扉を閉め、ゆっくりと布団の塊に近づくエメ。

「……どうしたんだ?ピムが心配してるぞ」

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