eme
第4章 変革の代償
レブロはゆっくりと椅子を揺らす。
大きな、ゴーレムの下半身とともにエメの帰りを待っていた。
「エメくんは……大丈夫じゃろうかの」
壊れてしまったゴーレムから、返事が帰ってくることはない。
その時、何かが上から落ちてきて、土煙が立つ。
レブロがおおきな音の主を見ると、そこにはエメが片ひざと両手をついていた。
エメは、なるべく速く帰るために、家々の屋根の上を走ったのだ。
「お帰り、エメくん」
「……はい」
エメはゆっくり立ち上がり、辺りを見渡す。
戦った跡。跡。跡。
下半身だけになった巨人ゴーレム。
バラバラになった犬ゴーレム。
バラバラになった、 ピム。
巨人の下半身にエメが近づくと、レブロが口を開いた。
「こいつはのぅ、ええんじゃこれで。わしが闘えと言った訳ではなく、自分の意思で、こうなったのじゃ。」
エメは黙っている。
「よくやったぞ、わしのゴーレムは。そこらに転がってる領主のゴーレムはな、みんなこいつがやったんじゃ」
「ミーシャのために、抵抗を?」
「そうじゃ。……結果、領主の大砲にやられてしまったがの。………なあ、エメくん」
「はい」
レブロは少し間を開けた。
「……ピムだけでも、なおしてやれんかのぅ?」
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