君のKISSに夢☆CHU
第14章 翔大のお願い
撮影が終わり今、私は翔大の車の中にいる。
「翔大ごめんね。付き合えるのは、撮影まで。私、好きな人が出来たから、エッチはもう出来ない。」
「そっか。見つけたんだな。運命のKISSをくれる相手。」
「うん…。」
「残念だな。俺、桜音の彼氏の枠、実は狙ってたんだけどね。」
翔大が少し寂し気な表情を見せながら呟いた。
静かになる車内。
沈黙が続く。
「今日は、ありがとー。」
「うん、こちらこそ。じゃーね!翔大。」
ドアを開けようとした腕を翔大に引っ張られて、私は翔大の腕の中に閉じ込められた。
「翔大?」
「ごめん。少しだけ…。」
翔大の爽やかな香が鼻をくすぐる。
ギュッと力の入る腕はかすかに震えていた。
「これからも、友達として付き合って。桜音の恋がうまくいくように、応援してるよ。」
「ありがとー。」
翔大の腕から解放されると、私は車を降りた。
翔大…ごめんね。
翔大の車が見えなくなるまで、私はその姿を見送っていた。