君のKISSに夢☆CHU
第17章 輝愛の闇
「梨果は俺に心配かけたくなくて、病気の事は言わなかった。入院した時も、すぐに退院するからって、笑顔で言ってたのに…。」
言葉に詰まった輝愛は、瞳を閉じて天を仰いだ。
「入院した頃には末期だったんだ。余命もわずかだった。」
「そんな…。」
「俺にはそんな素振り見せなかったのに…。アイツは…。」
「輝愛…もういいよ…。」
「俺はさ、アイツが亡くなる時、日本にいなかったんだ…。アイツの最期を看取ってないんだ…。」
「もういいよ…。」
「日本に帰って来た時にはもう、アイツは墓の中だったんだ。もうこの世にはいなかったんだ…。」
「輝愛…。」
「俺が梨果を最期に見たのは、俺が留学する日だった。アイツの最期の言葉は、“夢を絶対に叶えてね”だったよ。アイツらしい言葉だった。まさかあの日が永遠の別れになるなんてな。」
輝愛の瞳からキラッと涙がこぼれていく。
「留学なんてするんじゃなかった…。梨果の側についててやれば良かった。後悔で一杯なんだよ。俺は梨果に何もしてやれなかった。病気にも気付いてやれなかった。梨果を愛してたはずなのに、梨果の事を俺はわかってなかったんだ。最低だよな。本当に…。」