君のKISSに夢☆CHU
第17章 輝愛の闇
「俺は本当に最低な男だ。誰かを愛する資格なんてない。」
天を仰いだまま、涙を流す輝愛に心を奪われる。
輝愛の中にある闇は、予想以上に大きかった。
でも、そんな輝愛を今まで以上に愛しく思える自分がいた。
私は梨果さんには勝てないかもしれないけど、少しでも輝愛の気持ちを楽にしてあげる事は、できるかもしれない。
いつまでも、このまま輝愛を過去に縛られたままでいさせたくない。
プライド高い輝愛が嫌に思わないように、その涙を見ないように、私は輝愛の背中から前に腕を回して、輝愛を抱き締めた。
「私じゃダメかもしれないけど、輝愛の苦しみが減るように、輝愛の力になりたい…。そばにいさせて…。」
「桜音…。」
前に回った私の手の上に、輝愛の手が優しく重なった。