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赤い鴉

第2章 cloudy

「いい加減離せ!!」
恋人繋ぎで無理矢理昇降口まで歩かされる。どうにか手を解く、ローファーを履いて校門を出る…少し空を見上げると今にも降りだしそうな雲が広がっていた。
「コンビニに寄りたいけど良い?」
「良いぞ、俺は先に帰ってるぞ」
「タケルのイケズ!!」
メソメソする雄大にタケルはため息を吐く、待ってるからとっと買って来いと雄大を蹴り出した。
「はぁ…」
ついでだからタケルもATMで両親からの仕送りを確認する。ほぼ家に居ないことに罪悪感でもあるのか月50万とアホな金額を振り込んでくる。正直なところ兄とふたり暮らしで食費、光熱費などは全部大河が払っているので金は通学の時に乗る電車代くらいしか使わない。それなのに両親は毎月金を送ってる。
「待たせたな!!」
「何買ったんだ?」
「ふっふふん~ナイショ~」
再度ため息を吐く。駅に向かい電車に乗る。
「…ッ…」
双丘の撫でられる感覚に背中が粟立つ。
(よりによって今かよ)
雄大にバレないように平静を装うが双丘を撫でる男の手がだんだん大胆になる。
「……助けてほしい?」
「なッ…」
雄大はニヤニヤしながらタケルを見ている。
「…この後、オレの家に行くって云うなら助けてあげるよ」
「…おまっ…ふざけんな」
後ろの男の生温かい息が耳にかかって気持ち悪い。脚に男のいきり立ったぺニスを押し当てられ恐怖を覚える。
「わ、分かった…行くから、助けて」
男の手が前を触り初め、なりふり構ってられなくなったタケルは雄大に助けを求めた。雄大はタケルの耳元で約束だよと囁く。
「ねぇねぇオッサン?その汚い手でタケルに触るのやめてくれないかな」
口調は軽いのにやけに威圧感を感じる…雄大に腕を掴まれた男の顔が真っ赤になる。雄大が男の腕を離すと獣みたいな目でタケルを見て舌打ちして去っていた。
「いや~タケルがこういう可愛いことしてくれるならもっと早く助けても良かったな~」
「……煩い!!」
痴漢から解放され力が抜けたタケルは思わず目の前の雄大に抱き着いてしまう。思いがけないタケルの行動に雄大はニヤニヤした笑みを深くする。

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