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赤い鴉

第3章 rain

「早かったね、ちゃんと暖まった?」
岸田の家で風呂を借りTシャツとジーンズを借りた。
「紅茶とコーヒーどれが良い?」
「…コーヒー…」
そっけなく答えると岸田はインスタントのコーヒーを淹れてタケルに手渡した。タケルは一口コーヒーを口に含む、夏とはいえ雨に濡れて冷えた身体に熱いコーヒーが染み渡る
「相変わらず無防備だね」
「……?…」
「コーヒーに何か入れたか疑わずに飲むなんて」
タケルは迂闊に岸田からコーヒーを受け取って飲んでしまったことを後悔した、しまったと云う顔をして口を抑えるタケルを見た岸田はプッと笑い声を漏らす。
「冗談だよ」
「テメェ!!ふざけんな!!!」
からかわれたことに気付き岸田を怒鳴るタケル。岸田は肩をすくめる。
「綾瀬が相変わらず誘ってるのが悪いんだろ?」
訳のわからないことを云う岸田にタケルは戸惑う。そんなタケルの隣に来て岸田は耳たぶを食む。
「綾瀬、だいぶ変わったね…髪を赤く染めてこんなにピアス着けて」
「ひぅ!?」
岸田が熱い吐息を耳に吹き掛けタケルは感じてしまう。
「せ、センパイには彼女いんだろう!?」
中学の頃…岸田はタケルを恋人として扱ったことはなく主に浮気相手…もしくは簡単に躰を許す暇潰しの玩具と云ったところだろう。散々心身弄ばれたあげく捨てた男の家にのこのこ来るべきではなかったと深く後悔する。
「あんな女なら代わりはたくさんいるよ」
いたら駄目だろうと云う常識的な突っ込みは岸田に通用しない。
「それにしてもずいぶん変わったね」
「わ、悪いかよ…ぅぁッ…」
岸田はTシャツに手を入れタケルの乳首を弾く。
「むしろ良いよ、なんか昔とは違う色気がある」
岸田はそう云って自分の部屋にタケルを連れ込む。昔より力をつけたはずなのに全く抵抗できない。暴れるタケルを抑えながら嗜虐的な笑みを浮かべる岸田。
「今日は久しぶりに可愛がってあげるよ」
「ふざけんな」
岸田はタケルのTシャツを脱がして着けていたネクタイを外して背中で手首を結んだ。
「これほどけよ!!」
「これエロくて良いね、その強気な顔が羞恥と快感で歪む様はそそられる」

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