
原稿用紙でラブレター
第5章 青いハートに御用心
「よぉ~飲んでるかぁ?」
ふと目の前に影が出来たと思ったら、グラス片手に大ちゃんと松潤が対面に座ってきて。
「人気モンだなお前」
「やめてよ…」
いたずらに笑う大ちゃんに眉を顰めつつビールを煽る。
その間も目線は遠くのにのちゃんに送ったまま。
「それにしても…松本先生マジでグッジョブだわ」
「ふふ、でしょ?これでやっと気持ち良く酔えますね」
言いながら二人で"乾杯"とグラスを合わせて笑っている。
「…何のことですか?」
「んぁ?アレだよ、二宮先生だよ」
「そ。俺たち毎回介抱係で大変だったんだから」
くいっと親指で指し示したのは、俺ももちろん気になっているにのちゃんの居る席。
相変わらず無防備に愛想を振り撒いている様子。
確かに完全に酔ってはいるけど介抱係って…
「でも今年はお前が居るからな。後は任せたぞ。けどマジであんなもんじゃねぇからな」
「えっ?」
「ふふっ、相葉が見たら気が気じゃないでしょうね」
「へっ?な…」
ニヤニヤと楽しそうに話す二人へ向けていた視界の端、研ぎ澄ましていたレーダーがぴくっとそれを察知した。
わいわいと賑わう遠くのにのちゃんの居る席。
体育科の先生の大きな手の平ににのちゃんのまん丸い手が合わせられて。
手の大きさ比べでもしているのか、その違いの大きさに楽しそうに笑う可愛らしい顔。
「なにしてっ…」
「あ~待った待った。いいから座っとけって」
「でもっ、」
「行かなくてもどうせ呼ばれんだろ」
"なぁ?"と二人して顔を見合わせてるけど。
いやそんな悠長に構えてる場合じゃないんだってば!
なに気安く触ってんだよ!
そう思ったのも束の間、今度は腕捲りしだしたにのちゃん。
そこに現れた真っ白な腕に周りからはどよめきが起こり。
小さく口を尖らせてこてんと首を傾げるその仕草にきゅんとしてしまって。
…じゃなくて!
なに?なにそんなの晒してんの!?
体育科の先生の腕っ節とは到底比にならないその腕にみんな興味津々。
ついにはさわさわと撫でだしたもんだから思わず声が出てしまった。
「…ふふ。あんなぁ、二宮先生酔ったら色気ハンパねぇかんな」
「っ…」
「今まで俺らが守ってやってたけどこれからはお前でどうにかしろよ」
