
原稿用紙でラブレター
第5章 青いハートに御用心
大ちゃんに脅しとも言えるような言葉を投げられて。
遠目で見ただけでもはっきりと分かる、普段からはとても想像できないにのちゃんの姿。
たまに甘えてくることもあるけどあんなにゆるゆるじゃないし。
いつも一緒に居る俺でさえ衝撃なんだから先生たちはもっと衝撃に違いない。
…いやでも、だからこそ危ないのか。
普段はガードが堅いにのちゃんと触れ合えるチャンスは今しかないって思ってるってこと…?
「相葉先生っ!」
ふと遠くの、にのちゃんの席に居る体育科の先生から名前を呼ばれて。
爽やかに手を挙げるその奥、頬杖をついてグラスに口をつけるにのちゃんと目が合い。
っ…!
ゆらゆらと手を振ってくる仕草に居ても立っても居られず。
「しっかり仕事しろよぉ~」
大ちゃんと松潤にビール瓶を持たされてニヤニヤした顔で見送られた。
「おっ、来た来た!よっ、実習生!」
近付けばおじさん先生たちがご機嫌に酔っぱらっていて。
内心軽く威嚇しつつ一人ずつグラスにお酌をしていく。
最後ににのちゃんに行こうとしてふと動きを止めた。
これ以上飲ませるとヤバいよね…?
「…相葉せんせぇ?」
中途半端な所で固まっていると、ずいっと目の前に差し出されたグラス。
「なんで俺にはくれないんですかぁ?」
かくんと首を傾げて見上げてくる瞳に思わずごくっと唾を飲み込む。
ちょっ…
近くで見たらやば…
「そうだぞ相葉先生!ちゃんと二宮先生にもお注ぎしなさい!」
「あ、いや…ちょっと飲み過ぎじゃ、」
「え~俺ぇ?飲み過ぎてますぅ?」
「ぜ~んぜん飲み過ぎてません!ほら、早く注ぎなさい!」
周りのおじさん先生たちの鼻の下が伸びてるのが見てとれる。
つーかあんたらが煽ったんだろがっ!
あぁもう"俺"とか言っちゃってんじゃん…
くっそ、これ以上可愛いにのちゃん晒したくねぇ!
仕方なく隣に座りにのちゃんのグラスにビールを注ぐ。
するとわざとなのか何なのか、俺を見つめながらこくこくとビールを流し込み。
ぷはぁと美味しそうに飲み干しゆるゆるの笑顔を向けられて。
こんな間近で破壊力抜群の色気見せられたら俺…
前半に注がれ続けたお酒は最早すっかり抜けているよう。
今や違う火照りが体を支配し始めている。
