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KIND KILLAR

第7章 What you see in your eyes








「トモ!!」



雨の中、微かに彼の声が聞こえた気がして振り向く。



けど。



オレの後ろには誰一人いない。



ただ靄がかかった汚い路地があるだけ。



・・・そりゃ、そーだろ。



いるわけないじゃん、終わったんだもん。



自分から終わらせたんだもん。



オレには、彼を愛する資格さえ、初めからなかったんだ。



O「ふっ、はははははははっ・・・。」



急に、何だか悲しいのか可笑しいのかよくわかんなくなって、モヤモヤして、グチャグチャして。



その場にずるずると座り込んだ。



そんなオレの頬を濡らすのは、水滴と。



O「何泣いてんのオレ・・・。」



両親を亡くして以来、初めて流す涙。



O「止まれっ・・・。止まれよっ・・・。なんでだよぉ・・・っっ!!」



オレは、間違ってない。間違ってないのに。



どうしてこんなに胸が痛む?



でもそれは、考える必要もなかった。



そっか。



これが、人を愛することなんだ。



そして、これが。



愛する人に捨てられる、ってことなんだ。



つらいよ、つらすぎるよ・・・。



だからさ。



ねぇ、カミヤマさん。



お願い。



今日だけは、いいよね?



ホンモノの愛じゃなかった貴方の想い。



貴方がオレに言ってくれたこと。



今日だけは、信じさせて?



O「うっ、うぇっ・・・。」



嗚咽を抑えるのを諦めて、ただただ彼を想って泣き続けた。

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